~吉野創さんをお招きして~
<第23回「廣器会」講演会レポート>

開催日時 2026年2月12日(木)18:30~20:00(懇親会 20:00~22:00)
開催場所 (株)コーチビジネス研究所 飯田橋セミナールーム + オンライン
第23回の廣器会は、株式会社トゥルーチームコンサルティング代表取締役であり、一般社団法人自走式組織協会の代表理事でもある 吉野 創(よしの はじめ)氏 を講師にお迎えし、1時間30分にわたる熱量あふれる講演が行われました。
最初にプロフィールを紹介させていただきます。
<吉野さんのプロフィール>
講師紹介
吉野 創
吉野 創 (よしの はじめ)
株式会社 トゥルーチームコンサルティング代表取締役
一般社団法人 自走式組織 協会 代表理事
山口県下関市 城下町長府にうまれる
高校時代、 重量挙げ競技でインターハイ出場
国内大手ジーンズメーカーで、 営業職として実績を積む
会計事務所が母体のコンサルティングファームへ入社
コンサルタントとしての修行の日々
契約額3億円超・ファーム内実績1位
拠点経営責任・支社長として、 マネジメントに参画
人材育成・組織成長に特化したサービス提供を志し、
2014年 株式会社トゥルーチームコンサルティングを創業
吉野さんは、企業の人材育成・組織成長に特化したコンサルティングを展開。独自の組織モデルである『自走式組織®』 を商標登録にされるなど、現場に根ざした組織改革を実践されています。今回の講演は、吉野さんがこれまでの現場経験から導き出された「働く人が幸せになり、会社も選ばれる存在になるための経営の型」、がテーマでした。
レポート作成に当たって、吉野さんのご厚意により、100ページを超えるスライド資料をお預かりしています。講演そのままの「熱量」あふれる内容となっています。全てを紹介したいところですが、要約し(とても残念ですが…)、「廣器会23回講演」のレポートとさせていただきます。

1. はじめに ― なぜ今、「職場の常識」を変えなければならないのか
2024年以降、日本の労働環境は歴史的な転換点を迎えています。 その象徴が、吉野さんが講演の冒頭で提示した、「2040年に1,100万人の労働力が不足する」という衝撃的データです。
リクルートワークス研究所の試算によれば、
- 2027年から労働人口は急激に減少
- 2030年には341万人不足
- 2040年には1,100万人不足
という、企業経営の根幹を揺るがす未来が予測されています。
これは単なる統計ではなく、「人材確保が最優先の経営課題になるという現実そのもの」、ということを暗示しています。
労働供給が減っていく社会では、
- 採用が難しくなる
- 若手の取り合いが加速する
- 待遇競争に勝てない企業から衰退する
という構造が避けられません。
2. 働く人の価値観は大きく変化している
― 若い世代の「人生観」と組織のズレ

吉野さんが続いて指摘したのは、「働く人の価値観の劇的な変化」でした。
現代の働き手が求めるものは、
- 働きがい
- 自分らしさ
- 成長実感
- 仲間との信頼関係
といった、より“人間的な価値”へとシフトしている。
特に若い世代は、 「会社のために働く」よりも 「自分の人生をどう生きるか」を軸に働き方を選ぶ。この変化を理解することなく、 昭和・平成型の「指示命令マネジメント」を続ける企業は、 採用・育成・定着のすべてで苦戦するのが必然です。
吉野さんは、この価値観の変化を前提にした新しい組織モデルとして、『自走式組織®』 を提唱されています。

3. 「働きがい」と「生産性」は両立する
― 『自走式組織®』の核心
吉野さんが繰り返し強調されたのは、 「働きがいが高まると、生産性も上がる」 という事実でした。
働きがい = 働きやすさ(安楽)+ やりがい(成長・貢献)
働きやすさだけを追求すると、 人は「楽だが成長しない」状態に陥り、生産性は上がらない。ところが、 やりがい・成長実感・貢献実感が高まると、人は自発的に動き、成果も向上する。この、「働きがいを組織としてつくる仕組みが 『自走式組織®』の核心である」、と吉野さんは訴えます。
4. 『自走式組織®』とは何か
― 自発的に動く組織の条件
●自発的に動く組織(自走)
- 仕事が楽しく、充実する
- 結果として成果が上がる
- 社員が幸せになる
●他発的に動かされる組織(他走)
- 仕事が苦痛で、最低限しか動かない
- 成果が出ない
- 数字が悪化する
この対比は非常にシンプルですが、組織のリアルが伝わってきます。納得です。
「自走式組織®は、社員の幸せと企業の成果を両立させるモデルなんです」…吉野さんは、繰り返します。吉野さんのパッションが会場に広がり、「信念」が確実に私たちのハートを揺すぶっていく。

5. 組織の問題はなぜ起きるのか
― 会社と社員の“目指すもの”のズレ
ズレはどうして生じてしまうのか…?
組織の問題の多くは、 「会社と社員が目指すものが違う」ことに見出せる。会社は「売上・利益・成長」を求める。 社員は「働きがい・成長・仲間・自分らしさ」を求める。このズレが放置されると……
- モチベーション低下
- 離職
- 指示待ち
- 組織の停滞
が起きる。
『自走式組織®』は、このズレを埋めるために、 個人の理念(生きる目的・ミッション・ビジョン)と 会社の理念・ビジョンを重ね合わせるプロセス を重視しているのです。

6. 理念体系の統合
― 『自分理念経営®』という新しい視点
吉野さんは、組織づくりの根幹として 『自分理念経営®』 の詳細を説明してくれました。
これは、
- 企業理念(ビジョン・バリュー(行動指針)・ミッション)
と
- 個人の理念(生きる目的・ミッション・ビジョン)
を統合する考え方です。
特に重要なのは、 「自分のために頑張ることが、会社のためにもなる」 という一致点を見つけること。この一致が生まれると、人は外からの指示ではなく、 内発的動機で動き始める。理念が「外から与えられるもの」ではなく、「 自分の人生と接続された瞬間、働き方は劇的に変わる」、のですね。

7. 自立型人材とは何か -依存から自立への進化
「自立型人材」と「依存型人材」の対比は、とても印象的です。
●依存型人材
- 問題はピンチ
- 失敗を恐れる
- 他責
- 限界を感じる
- 競争・保身
- 不満を探す
●自立型人材
- 問題は飛躍のチャンス
- 失敗を糧にする
- 自責
- 可能性を感じる
- 他者支援
- 夢に向かって行動
この違いは、性格ではなく、 「思考の習慣」×「行動の習慣」 によって生まれるのですね。
吉野さんは、「自立型人材の思考・行動モデル」として、 次の10項目を提示しています。
- 夢・ゴール・理念を明確に持つ
- 今の状況をチャンスとして捉える
- 正解にとらわれず、できることから行動する
- 知識・経験・人脈など、すべてを活かす
- 環境に期待せず、自分に期待する
- あきらめず挑戦し続ける
- 失敗から学び、ノウハウに変える
- 毎日ワクワクしながら考え続ける
- 人を信頼し、人の夢を支援する
- 人の幸せを自分の幸せとする
これは単なるスローガンではありません。「 自立型人材を育てるための“行動規範”」そのものです。
8. 自立型人材を育てる方法
― メンタリング・マネジメント

自立型人材は、命令や管理では育ちません。 スライドでは、マネジメントを次の2つに分類しています。
●コントローラー型(旧来型)
- 操作・管理
- 飴と鞭、人事権、恐怖
- 外発的動機
●メンター型(新しいマネジメント)
- 自分自身が成長する姿を示す
- 尊敬・信頼・共感
- 内発的動機
吉野さんは 「上司の自発的な行動が、部下の行動を促す」 と強調します。つまり、育成の出発点は、 「上司自身が成長すること」。
メンタリングとは、 上司が「教える人」ではなく「育てる人」として、 在り方で示し、関わりで支援し、信頼で導く という関係性なのですね。

9. 『自走式組織®』をつくる「経営の設計図」
―ロードマップとしての 6つのステップ
『自走式組織®』は偶然できるものではない。 明確な設計図に基づいてつくられる」…今回の講演の「肝」でした。
吉野氏さんが示す「経営の設計図」は次の6ステップで構成されています。
- 自分理念
- 理念ストーリー
- 習慣化
- ベクトル
- 育成者育成
- 自走式運営
この設計図を理解し、 部門ごとに実行計画を立て、 毎月トライ&エラーを繰り返すことで、 組織は徐々に「自走」へと向かっていく。
10. 次世代マネジメント人材を育てる
― 3年で育成者を育てる仕組み
吉野さんは、
- 管理者の高齢化
- 若手に対する育成欠如
- 指示命令型マネジメントの限界
- 理念への共感不足
といった課題を挙げ、 これらを解決するには 「育成の仕組み化」が必要だと説きます。

11.経営者勉強会 ― 学びと実践の共同体
スライドの終りにかけて、 「経営者勉強会」という実践の場が紹介されます。
●目的
- 『自走式組織®』の型を学ぶ
- 地域の経営者同士が相互支援する
- 5年後・10年後の組織課題を共に解決する
- 「働くことで幸せになる職場」を広げる仲間を増やす
●構造
- オンライン講義(経営の設計図を学ぶ)
- 相互支援会(地域ごとに開催)
- 毎月交互に実施し、実践知を深める
●得られる価値
- 幸せに働く職場のつくり方を学べる
- 高額ノウハウを低コストで学べる
- 同じ悩みを持つ仲間とつながることができる
- 心理的安全性の高い場で対話できる
●参加資格
- 人と組織の問題に関心がある
- 社員を幸せにしたい
- 職場の常識を変えたい
- 他者支援ができる
- 勉強好き・素直・誠実・謙虚
利己的な人、売り込み目的の人は参加NGと明記されています。 これは、勉強会が「学びと支援の共同体」であるために必要である…吉野さんの考えは、「廣器会」としても納得できる理念です。

12.吉野さんの“熱”
― 組織論を超えた「社会変革」への想い
今回の講演は、吉野さんの「伝えたい」という強い想いが伝わってきました。
- 働く人を幸せにしたい
- 企業を持続可能にしたい
- 日本の未来を支えたい
- 理念を軸にした組織づくりを広めたい
その熱量は、時に資料を追い越し、 会場の空気を揺さぶるほどです。
「廣器会」として大切にしたいのは、「 講師の想い」を表層ではなく「本質」として受けとめ、共感することにあります。今回の講演は、 吉野さんの信念と情熱が、私たちを“まっすぐ”に射すくめる、 とてもとても印象深い時間となりました。
吉野さん、ありがとうございました!






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レポーター紹介
坂本 樹志
株式会社コーチビジネス研究所 顧問 CBL認定コーチ 中小企業診断士
広島県出身。大学卒業後、大手化粧品会社に入社。財務、商品企画開発、販売会社代表取締役、新規事業開発、中国上海・北京駐在、独資2社設立し総経理等を歴任。その後CBL認定コーチとなり、エグゼクティブコーチとして活動開始。『カウンセリング&コーチング クイックマスター(同友館)』『格闘するコーチング(かんき出版)』など著書・執筆多数
WEB構成
水野 昌彦
アイデアルブランズLLC 代表 ブランド・デザイナー 中小企業アドバイザー
美大卒業後プリンター・電子機器メーカー、独立デザイン事務所を経て自動車メーカーデザイン部でカーデザインに従事、エンブレムデザイン全般担当を契機としてブランディングに深く関与。ブランド体系構築をリーディング。2021年独立・法人化、代表に就任。「かんがえ方のデザイン」を提唱し中小企業のブランド・デザイン振興を支援している。
撮影
Jin-hitomi
インフラ系会社の購買部門で契約業務の他、経理・総務を歴任。日商簿記2級、ビジネス法務2級
パラレルキャリアで人物写真撮影(イベント、スナップ、スタジオ)、西洋占星術、ダンス(ヒップホップ、ロックダンス)など★魂の煌めきを照らす仕事★で元気とパワーを届けている。



