「ミニシアター~経営者のプレゼンスアップ」…松本邦裕さんをお招きして -後編-

<第13回「廣器会」講演会レポート>

開催日時 2025年4月10日(木)18:30~20:00(懇親会 20:00~22:00)

開催場所 (株)コーチビジネス研究所 飯田橋セミナールーム + オンライン

– これまでの前編はこちら –

ここからは、心と身体を使ったワークです


・では目を閉じていただいて、自分の呼吸…簡単な感じ方から入っていきます。まず鼻の穴は感じやすいと思います。空気がどんな感じて出たり入ったりしているのかな? 感じてみてください。

見渡す松本さんです。松本さんはここから「沈黙」を多用します。最初は10秒くらいだったでしょうか。


・鼻の上部…どんな感じでしょうか?
・はい、目を開けてください。掌(てのひら)を優しく重ねて、胸にあててください。そして目を閉じてください。力を抜いてください。小さな息づかいを、自分の自然な呼吸を感じてみてください…
・これだけで幸せモードになれます。自己肯定感が自然に…気が付いたら上がっている。そうすると自分のことが好きになれます。自然に、自信が湧いてくる状態に…

優しく語りかける松本さん。目を閉じているみんなを無言で見つめつつ、ゆっくりと円を描き歩を進めます。


・そお~と手を下ろしてください。目を開けてください。いかがですか… 5分前と比べて、感じやすくなっていませんか? 
・目を閉じてください。ご自分の呼吸を、ただ感じるだけです。 
・はい、ありがとうございます。目を開けてください。
・今度は声も使ってみましょう。私たち日本人は、お行儀がいいので、大人になればなるほど、声を出さなくなっちゃうんですね。
・自分の中にある想いが、出やすいようにします。鼻から…「ぅふ~ん…」、口から…「は~っあ~」、はい、いいですね。
・これが皆さん、スピーチにつながっていくと自然なんです。ご両親からいただいたその呼吸、生命…それが、今感じられるわけです。 
・皆さん、とっても綺麗ですよ、動きが。で、ちょっと感じられるようになった。そこに少し、人工的に鼻から足してあげるんです。で、口から出すのも、少し足してあげるんです。自然~んな感じで。

松本さんは私たちの姿を眺めつつ、上手にホメてくれます。ただ…なかなか上手にできている感覚をいだくことができない… スミマセン、私の個人的な感想です(笑)。


・そして、だんだん深呼吸につなげていきます。小さな呼吸から始まって、だんだんだんだん、大っきくしていきます。
・そうです、そうです。お腹の中から波のようにつながっていくでしょう。皆さん、綺麗です。綺麗ですよ。そうです、そうです。そう、綺麗です。
・正しいとか間違っているとか以前に、その動きが綺麗かどうか…ここ大事です。そうすると自然になってくるんです。

ゆっくり歩みを進め、視線を周しながら、みんなに目配り。静謐な空気が広がっていきます。言葉と言葉の間の「間」が増えているようです。

「沈黙」が浮遊している…


・もっとデフォルメしてみましょう。鼻から一杯吸って…そして吐き切って下さい。グ~っと。いいですよ。気持ちよくいきましょう。
・そう、身体が自然に動き出しています。すると背骨が動き出すんです。綺麗ですよ。最大限まで行ってみましょう。どこまで吸えるのか…
・ある程度クライマックスまで行ったら、徐々に徐々に戻していきます。急にパッと止めるんじゃなくて… ちょっとずつ、それを小さくしていきます。そして…普段の自然な呼吸にゆっくりと、戻していきます。
・しばらく自然体を味わってみてください。ただ味わうだけです。そうすると、普段より呼吸が見えてきます。感じられるようになります。

「間」と「沈黙」が心地いい…


・まだ目は開けないでくださいね。周りの空気と息づいている感覚で、ゆっくり目を開けてもらいます。そうすると、その空気と自分の間の線がなくなるんです。そこにある空気感の中で、自分が遊んでる…
・さあ、ご自分でゆ~っくり、外と溶けるような感じで、ゆ~っくり、溶けるような目線で、ちょっとずつ目を開けてください。急にパッと開けないでください。
・ゆっくり…時間かけていいですよ。そして周りをゆっくり見てください。まだ人の顔は見ません。ちょっとずつ、お隣のスリッパを見たり、スラックスを見たり、シャツをご覧になったり、髪の毛をご覧になったり… 時間をかけながら、最後の最後に、パートナーのお顔をゆっくり見てください。十分に時間をかけて…

松本さんは、ここの「間」を長くとります。


・ゆっくり、ゆっくり、お互いを見るだけです。ただ見るだけ。どうぞ…ゆっくり。
そして…いまやってきた息づかいでいられるか? ちょっとやってみてください。今、お一人でやっている息づかい…それを相手と共有する。どうぞ…

長い「間」…

・では、ちょっと実験しましょう…

私の隣は、たまたま今日から参加のフォトグラファーの池上仁美さんだったのですが、長く生きてきて、まったく体験したことのない数分間が、ここからはじまります。
はじめの数秒間は、照れを隠しながら、「よし、にらめっこだ…」との思いで臨んだのですが、池上さんの「真摯さ」が私にも伝染したのか、私も「真剣に」…
松本さんが醸し出す世界に没入してしまいました。

人生で初めて体験する時が流れます…


・お互いに目の表面だけ見てください。そして、ゆっくり呼吸してください。
・呼吸しながら、いわゆる相手の眼底…の奥を、ご覧になって下さい。

松本さんの声が、やわらかくなります。


・眼底です。面白いですよね。見られている。心の奥底まで…
・もう一回行きますよ。目の表面だけ見てください。 

(間)
・は~い、静かに呼吸しながら相手の目の奥をご覧なって下さい。じ~っと… はい、さらに奥…突き抜けて頭の真後ろまで… 私の世界に居ない人です。

50センチ程度の距離で、1分間~のワークを繰り返しながら。無言で、じーっと目と目で見つめ合う。一瞬も目を離すことなく真剣に……

・はい、いいですよ。楽に呼吸してくださいね。はい、呼吸しましょう。大げさにやってみましょう。相手からもらって、息を吐く。相手から呼吸をもらって、息を吐く……

ここで、やっと「くすくす笑い」が起こります。ふ~……(笑)


・これはジムトレーニングみたいなものですから、数回やっぱり必要だと思います。別に今日出来なくてもショック受けないでくださいね。ジムトレと一緒ですから。
・は~い、ありがとうございます。伸びをしてください。ぐーっと……

はい、ここで休憩を取りましょう。お疲れさまです。

後半も濃密で不思議な時間が流れます。
ここまで、静止画(写真)を使って紹介していますが、ここでショート動画を貼り付けてみようと思います。松本さんの美しい所作(ウォーキングのシーンです)の流れを堪能していただければと思います。

残り時間も少なくなってきました。「ここが習いたい、とかありましたらどうぞ。いかがですか…?」と、松本さんが声をかけます。すると、中村さんから…

中村さん

よく松本さんは、「発声練習って普通に習うのとは違いますよ」って、言われるじゃないですか。みさんは、「あーあー」というのが発声練習だと思っている人が多いと思います。廣器会メンバーは、人前でお話することがとても多いですから、発声について、アドバイスをお願いします。

松本さんは、「わかりました。では皆さん、発声練習は忘れてください(笑)」と、特別講義のスタートです。テーマは「チェストボイス」です。
「チェスト」とあるように、「胸からの声」のようです。松本さんは左の手指でOの字をつくり胸に充てます。

「チェストボイス」は危ない…セクシー?

・ここ、危ない場所なんです。まずドラマモードで発声してみましょう。

ここで、グーグル検索で「チェストボイスとは?」と入力し、返ってきた回答を紹介します。(Search Labs | AI による概要)

発声方法 :
胸の共鳴を使って声を出すため、低音域から中音域にかけて力強く響くのが特徴です。
特徴 :
チェストボイスは、力強さ、厚み、パワーを歌声に加えることができるため、歌手にとって重要な声域とされています。
利用シーン :
カラオケで力強く歌いたい時、スピーチで説得力を持たせたい時など、様々なシーンで活用できます。
メリット :
チェストボイスがマスターできれば、声量がアップし、歌に力強さと感情を込めやすくなります。
具体的な例 :
響きのある低音域を出すとき。
歌声に力強さを加えるとき。
スピーチで説得力を持たせたいとき。

この「チェストボイス」をマスターされている松本さんは、「セクシー」に響かせてドラマモードで、私たちに語りかけます。
さきほどのワークは、沈黙のまま「目と目を見つめ合った」わけですが、「チェストボイス」を使って、静かにささやくと… 確かに「ドラマ」の世界が広がるようです。松本さんは、繰り返し「チェストボイスは危険です」と言葉にします 。松本さんの周囲1メートルの景色が変わっているのが感じられます(笑)。

続いての質問は、「姿勢をよくする方法について教えてください」でした。すると松本さんは、「正しい姿勢…と意識すると脳がいやがるんです」、とリフレーミングで切り返します(笑)。

松本さんは、フロアに仰向けの姿勢で横たわりました。そして、ゆっくりと両手を広げます。


・ゆるめれば、身体はほとんど水なので、ベタ~となります。揺らすと身体は水なので、その水が動くでしょう。
・私たちは前肩の人が多いので、両肩を地面につけます。鎖骨が綺麗になるように…
・手の先に糸が結ばれて、引っ張られると手が伸びる。糸が切れると、ダラ~ンとなる。
・だれかに引っ張られる、ゆるむ。引っ張られる、ゆるむ…
・脚も使って、くるぶしを右左に動かし、脚をたたむ、そして伸ばす…

松本さんの一つひとつの動きは、とてもリズミカル。滑らかに流れるように美しい。

こうして、松本さんの「ミニシアター…全員参加型ワークショップ」が終了しました。最後は、みんなで背伸びをして…そして大きく深呼吸です。

レポーター
坂本

松本邦裕さん、ありがとうございました!

坂本樹志

– これまでの前編はこちら –

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次回廣器会は・・・

経営の矛盾を“逆転”する羅針盤
~AIと対話するTRIZ思考~
楽描人カエルン 氏 -廣器会#14

プロフィール

楽描人カエルン(グラフィックレコーダー/ファシリテーター)

「グラファイア・アカデミー」主宰
年間多数の企業研修・講演実績
視覚的コミュニケーションを用いた経営・組織開発に専門性

すべての人にとって絵をかくことを当たり前にするのがミッション。
 グラフィックレコーディング、グラレコの実践者。
2018年ぐらいから活動。模造紙とマーカーペン、デジタル作画ツールの両方を使い、
かなりの分量を短時間でライブドローイングする。似顔絵が多めなのが特徴。
 絵に対する苦手意識を取り除く。絵のスキルを自ら向上することをお手伝いするのが生きがい。
某企業の研修では半日程度で誰でもそれなりにかける様になるプログラムをデザイン。
継続的にお仕事もいただいている。理論と実践を織り交ぜた講義スタイルが特徴。

■内容

経営の“矛盾”を武器に変える!AIと共に未来を切り拓く特別な90分。
「理想と現実のギャップ」「変化への対応」「AI時代のリーダーシップ」…
日々経営者が直面する矛盾。それを新たな価値創造の源泉とするための思考法と実践を共に探求します。

リベレイティング・ストラクチャー「TRIZ」と最新AIエージェントを活用し、
身体性を伴うグループワークを通じて経営観をアップデートし、
明日から使える具体的なアクションを見つけ出しましょう。

こんな方におすすめ
理念や目標と日々の現実とのジレンマを抱える経営者
既存の思考パターンを打破したい方
AIを思考のパートナーとして活用したい方
他の経営者との対話から本質的な学びを得たい方

予定
イントロダクション: 経営における「矛盾」と「Why」の重要性
TRIZワーク Step 1:「最悪の結果」を生む行動リストアップ(AI活用)
TRIZワーク Step 2:「実はやってしまっていること」の内省(手書きワーク)
TRIZワーク Step 3: 矛盾を乗り越える「次の一歩」発見(AI・グラレコ活用)
振り返り: TRIZ思考の応用と実践プラン策定
得られること
経営の矛盾の本質に迫る洞察
TRIZ的逆転発想による問題解決アプローチ
AIエージェント活用の具体的体験
明日から実践可能なアクションプラン
他経営者との対話からの多様な視点と学び

■開催日時
2025年5月8日(木)18:30-20:00

■開催方法
リアル会場開催&オンライン同時開催

■会場
株式会社コーチビジネス研究所
東京都千代田区富士見1-3-11 富士見デュープレックスビズ702号室

お申し込み・詳細はこちらから

第14回学びの会合 (経営者のための廣器会)

https://peatix.com/event/4382744

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レポーター紹介

坂本 樹志

株式会社コーチビジネス研究所 顧問 CBL認定コーチ 中小企業診断士
広島県出身。大学卒業後、大手化粧品会社に入社。財務、商品企画開発、販売会社代表取締役、新規事業開発、中国上海・北京駐在、独資2社設立し総経理等を歴任。その後CBL認定コーチとなり、エグゼクティブコーチとして活動開始。『カウンセリング&コーチング クイックマスター(同友館)』『格闘するコーチング(かんき出版)』など著書・執筆多数

WEB構成

水野 昌彦

アイデアルブランズLLC 代表 ブランド・デザイナー 中小企業アドバイザー
美大卒業後プリンター・電子機器メーカー、独立デザイン事務所を経て自動車メーカーデザイン部でカーデザインに従事、エンブレムデザイン全般担当を契機としてブランディングに深く関与。ブランド体系構築をリーディング。2021年独立・法人化、代表に就任。「かんがえ方のデザイン」を提唱し中小企業のブランド・デザイン振興を支援している。

撮影

池上 仁美

インフラ系会社の購買部門で契約業務の他、経理・総務を歴任。日商簿記2級、ビジネス法務2級
パラレルキャリアで人物写真撮影(イベント、スナップ、スタジオ)、西洋占星術、ダンス(ヒップホップ、ロックダンス)など★魂の煌めきを照らす仕事★で元気とパワーを届けている。

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